Project Story
倉敷国家石油ガス備蓄基地

50年後の未来を見据えて
想像力と創造力を融合させた
世界最大級の国家石油ガス備蓄基地

場所
岡山県・倉敷市
プロジェクト名
倉敷国家石油ガス備蓄基地
地下岩盤貯槽建設
事業カテゴリ
保守管理
サービス
施工日
2013.03 完成
Facility

倉敷国家石油ガス備蓄基地

石油ガス(LPガス)は、私たちの経済活動や生活に欠かすことのできない資源のひとつ。「倉敷国家石油ガス備蓄基地」は、そんな石油ガスを備蓄する国家事業で、日本初の貯蔵方式を採用した備蓄基地になります。

Member

プロジェクト開発室 室長代理 兼 所長松尾 嘉則

「倉敷国家石油ガス備蓄基地」の前には石川県七尾市の「七尾国家石油ガス備蓄基地」も担当。豊富な国家備蓄の経験を生かし、現在新田菅工では備蓄基地の保守管理サービスの責任者として携わる。

Data
発注者
国家石油ガス備蓄会社
請け負い
日揮株式会社
設計
JXエンジニアリング株式会社(旧日陽エンジニアリング株式会社)
用途
敷地面積:約3ha、方式:水封式地下岩盤タンク方式、施設容量:約40万トン(プロパン40万トン)

Mission
日本初の取り組み、
貯蔵方式の採用

瀬戸内海を望む工業地帯「水島コンビナート」。この地下には巨大なトンネルが4つ存在しています。それが、40万トンに及ぶLPガスを備蓄している「倉敷国家石油ガス備蓄基地」。その大きさは幅18メートル、高さ24メートル、最長で640メートルにも及び、4つのトンネルの合計はおよそ2.2キロメートルにもなります。現在、日本には「茨城県神栖基地」「石川県七尾基地」「長崎県福島基地」の3か所の国家石油ガス備蓄基地が稼働していますが、倉敷基地はそのなかでもトップクラスの貯蔵量を誇ります。
最大の特徴は「水封式地下岩盤貯蔵」という備蓄方式にあります。従来の施設は、いずれも地上タンクにLPガスを貯蔵する方式であるのに対して、倉敷基地は地下200メートル付近の岩盤を掘削し、地下水位以下の岩盤内に空洞を設けて貯蔵します。LPガスの圧力よりも高い地下水圧を用いるため安全性や経済性にも優れ、ヨーロッパを中心に多くの施設で採用されています。日本では初めての取り組みということもあり、海外のメーカーによる製品サポートへの対応など、パイオニアとしての大変さと充実感を知る現場となりました。

海外製品を取り扱う現場

「水封式地下岩盤貯蔵」方式は、固い岩盤の多いヨーロッパ大陸で多く採用されている備蓄方式です。日本は岩盤があまり強くないため、この方式に対するノウハウだけでなく、排水ポンプなどの機材もあまり揃っていませんでした。そこで、事例のあるヨーロッパ製の機材を発注するのですが、調整を行う際はその都度メーカーの海外工場に送る必要がありました。コミュニケーションとスケジュール調整が最大の難関になりました。

異文化でもコミュニケーションでカバー

こうした新しい技術では、メーカーのサポートが必須だと私たちは考えています。そこで、新田菅工では社内に外国と対応する専門の部署を用意し、対応に当たりました。特にこの方式は水封と圧力のバランスを取るのが難しく、現在でもまだまだ微調整が求められますが、コミュニケーションを取りながら少しずつノウハウや経験値も貯まってきました。初めての試みで専門用語や各国の商習慣など当惑することもありましたが、現在でも保守管理責任者としてメーカーとの良好な関係を続けています。

Challenge
緻密な作業が
大きなものを作る

国家備蓄基地というものは、国家が未来に備えて建設するものです。当然いつか使うその時まで安全に保管し、必要な時にはスムーズに供給できるように運用しなければいけません。2013年3月完成に完成した「倉敷国家石油ガス備蓄基地」の運用が想定される期間はおよそ50年。新田菅工では「七尾国家石油ガス備蓄基地」も担当していましたが、海の下を掘る「水封式地下岩盤貯蔵」方式は全てが違いました。
さらに一つの貯槽として40万トンもの貯蔵容量は世界最大規模ということもあり、海水や地下水、水封トンネルや水封ボーリングなどの水対策、未知の環境での安全対策などに加え、常に湧き水の排水をポンプで行いながらガスの圧力とのバランスを保ちつづけるのは非常に繊細な作業でした。竣工から5年が経った現在でも、常に監視をしながら運用を行なっています。社会のインフラを担う壮大なプロジェクトでは、長期的に運用できる緻密な計画と実行力が求められています。

50年の運用に耐える想像力

備蓄基地の存在は、国家の体力に直結します。特に、天然資源の乏しい日本においては、計画的に燃料などを保存することで長期的なインフラ計画などを行うことが可能になります。資源を保存することも大切ですが、保管するだけでなくきちんと運用し、いつでも使える状態を保つことで、初めて「備え」になると私たちは考えます。未来の日本がどのような状況になっているのか、世界の情勢がどのように変化しているのかは誰にもわかりません。それでも、あらゆる可能性を想定して準備を進め、計画を破綻なく遂行することが国家の未来を創っていくという使命を感じて、私たちは保守管理に努めています。

国家の未来を創造するチカラ

備蓄基地の存在は、国家の体力に直結します。特に、天然資源の乏しい日本においては、計画的に燃料などを保存することで長期的なインフラ計画などを行うことが可能になります。資源を保存することも大切ですが、保管するだけでなくきちんと運用し、いつでも使える状態を保つことで、初めて「備え」になると私たちは考えます。未来の日本がどのような状況になっているのか、世界の情勢がどのように変化しているのかは誰にもわかりません。それでも、あらゆる可能性を想定して準備を進め、計画を破綻なく遂行することが国家の未来を創っていくという使命を感じて、私たちは保守管理に努めています。

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